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      「つくる」をめぐるメモランダム

      ―人間が「つくる」ことの意味―

      AIによる創造は可能か?

      2018年10月に、AIが描いたとする絵が世界的な美術品オークションであるクリスティーズに出品された(1)。機械学習を学ぶ学生たちからなる「アーティスト集団」The Obvious(以下、オブビアス)によって発表されたその作品は、432500ドルで落札された(2)。ついにAIがアーティストとしてデビューしたのか?何しろAIが人間の知能を上回るときが訪れるという警句がまことしやかに発せられているくらいだ(3)。いずれはAIが絵画作品を作る時代がやってきたとて不思議はない.けれども、オブビアスが主張する通り、AIによる絵画制作はすでに実現していると言えるだろうか。

      ここでの問題は、何をもって「AIが生成した絵」と主張できるかということだ。絵の生成に用いられたアルゴリズムは「敵対的生成ネットワーク」と呼ばれるもので、2つのネットワークを敵対させることによって、学習を進めるアルゴリズムである(4)。たしかに、このアルゴリズムを利用したモデルが絵を生成したというのは事実である(5)。だが、学習に用いるデータを与えたのはオブビアスのメンバーたちであって、AIではない(6)。アルゴリズムの設定やデータの用意は人間たちによって意図的に行われた(7)。この過程があったからこそ、AIは432500ドルの値打ちをもつ絵を生成することができたということになる。では一体、この絵を描いたのは機械か、それとも人間か。

      このように、AIによる創造について現実味を帯びた議論がなされてきている。AIの創造性について考えることは、その対照としての人間の創造性について考える視点を要請する。いま、人間が「つくる」ことの意味を問うてみたくもなるのである。

      創造と価値と

      「つくる」ことと価値の関係には、切っても切れない根深さがある。ふつう、「つくる」行為の産物たるアート作品はいくばくかの価値を伴う。それは、巨匠の作品に付け与えられる経済的な価値に限らない。真偽、善悪、美醜...価値の尺度はさまざまだ。自分の親が描いた絵、祖母から譲り受けた形見の皿など、お金には変えられない大切なものが持つ価値も見逃せない。「アート作品の価値」は身近なテーマだろう。

      近年、「美」や「醜」といった感性的経験における価値判断が科学的研究の対象となってきている。1990年代後半以降の脳機能イメージング技術の発展のおかげで、アート作品の鑑賞に代表される主観的な経験を対象とした研究が本格化している(8)。

      そこで明らかにされたことは、次のような事実である。つまり、個人の感性的な価値判断は、文脈効果や同調バイアスに大きく左右されるということである(9)。文脈効果とは、目の前の作品とは直接的な関係のない情報―作者名や、歴史的背景についての知識など―の影響を受けて作品の評価が変化する現象のことである(10)。また、他人の意見による同調現象においては、その他人の属性についての情報―職種や本人との関係性―も価値判断に影響を及ぼすことが知られている(11)。このように、作品と直接の関係をもたない情報が、作品の評価に影響を与えるという事実が次第に明らかにされている。

      それゆえ、価値の拠りどころとなる基準は時代や社会とともに変化し、普遍性をもたないと言える(12)。しかし、それでも価値は存在する.作品の価値と呼ばれるのは、ほかならぬ鑑賞者その人が目の前の作品を見たり、触れたりしたときに生じる個別具体的な感覚だ。その感覚は、様々な情報の影響を受けてダイナミックに変動する。あるとき、ある作品を前にして、そこに描かれた風景に言い知れぬ懐かしさを覚える。そして「美しい」と思ったりする。あるいはたんに「好きだ」、「嫌いだ」という感覚を抱く。言葉では表現できない思いが沸き起こることもある。そうした論理必然的でない感覚を信じるおかげで、その作品に価値が見出される。そして、その感覚が生じる原因は作品や鑑賞者その人というよりむしろ、それらのあいだで取り結ばれる「文脈」にある。

      共創に夢を

      事業をいとなむ人間は、加速する世界の風潮に駆り立てられている。そんななか、目先の課題解決に終始するあまり、自らが見たいと願った「ありうべき未来」への信念を見失うことがあってもおかしくない。そんなとき、自らの内面に折りたたまれた思考や感覚を外部に紡ぎ出し、目で見て触れられるようにできたとしたら...?自らの信念と向きあってそれを検分し、よりたしかなものにできるのではないだろうか。

      ALTに所属するアーティストたちは、そのような技術を専一に磨いている。アーティストの役割は、自らが見つつある世界を、自らが美しいと信じる表現をつうじて他人に見せることにある。アーティストはまず、「見る」ことの専門家である。次に「つくる」ことの専門家であり、そして何より、自らの内面と向きあうことを本分とする。ここに、事業家とアーティストが作品を「一緒につくる」ことの意義深さがある。

      その役をになうアーティストは、人間である方がきっとよい。0と1のあいだから零れ落ちるような文脈を拾い上げ、それへの共感をもとに「つくる」ことができるのは、人間以外ではありえないからである。

      註

       1 「Is artificial intelligence set to become art’s next medium?」 (Christies、2018) https://www.christies.com/features/A-collaboration-between-two-artists-one-human-one-a-machine-9332-1.aspx

       2 徳井直生『創るためのAI:機械と創造性の果てしない物語』(BNN、 2021)p. 34

       3 カーツワイル,レイ『ポスト・ヒューマン誕生 : コンピュータが人類の知性を超えるとき』(小野木明恵, 野中香方子, 福田実共訳、日本放送出版協会、2007)p. 47

       4 徳井直生『創るためのAI:機械と創造性の果てしない物語』(BNN、 2021)p. 34-36発表後、GitHub上で他のAIアーティストが既に公表していたソースコードが流用されている可能性が指摘されているほか、一緒に公開されている学習済みモデルも合わせて流用されたものでないか、との疑惑がおこっている.(徳井直生『創るためのAI:機械と創造性の果てしない物語』(BNN、 2021)p. 40)

       5 同 p. 39

       6 同 p.39-40

       7 同 p.39

       8 石津智大『神経美学:美と芸術の脳科学』(共立出版、2019)p. 7-8、渡辺茂『美の起源:アートの行動生物学』(共立出版、2016)p. 12

       9 石津智大『神経美学:美と芸術の脳科学』(共立出版、2019)p. 40-41

       10 同 p.44-48

       11 同 p.48-52

       12 普遍的価値は存在するか?という問題への取組みは、石津智大『神経美学:美と芸術の脳科学』(共立出版、2019)第6章 p. 70-89、渡辺茂『美の起源:アートの行動生物学』(共立出版、2016)p.15-18を参照.

      引用文献

       「Is artificial intelligence set to become art’s next medium?」 (Christies、2018) https://www.christies.com/features/A-collaboration-between-two-artists-one-human-one-a-machine-9332-1.aspx

       石津智大『神経美学』(共立出版、2019)

       カーツワイル,レイ『ポスト・ヒューマン誕生 : コンピュータが人類の知性を超えるとき』(小野木明恵、野中香方子、福田実共訳、日本放送出版協会、2007)

       徳井直生『創るためのAI:美と芸術の脳科学』(BNN、2021)

       渡辺茂『美の起源:アートの行動生物学』(共立出版、2016)

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

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